
「体温を測る」と聞いて、どんなときに測ることを思い浮かべますか?
「なんだか熱っぽい」
「風邪をひいたかもしれない」
「身体がだるい」
そんなときに、体温計を取り出す人は多いと思います。
ところが、
「最近、体温が低い気がするから測ってみよう」
という人は、意外と少ないのではないでしょうか。
自分がこれまで20年以上臨床で見てきた中では、女性で妊活中など、基礎体温を毎日記録している方を除けば、自分の普段の体温を把握している人はそれほど多くありません。
ところが、【治療院】には「何らかの不調」を感じて来る人が多い。
ここは【リラクゼーション】と分けてのおはなしです。
肩がこる。
腰が痛い。
疲れが取れない。
身体が重い。
冷える。
眠りが浅い。
なんとなく調子が悪い。
そこで、ある時から新しく来院された方の体温を測るようになりました。
今から10年以上前ですかね、冷え性についてかなり取り組んだ時期のことです。
すると、ちょっと気になることが見えてきたのです。
36℃を下回っている方が、かなり多かった。
中には34℃台の人も居て、ほとんどの人が結果に驚いていました。
もちろん、これは「治療院に来る人はみんな体温が低い」という話ではありません。
延寿堂で、何らかの不調を抱えて来院された方を測ってきた中で感じたことです。
現場で実際に測っていると、「これって、何か関係があるんじゃないか?」と思うようになりました。
体温が1℃下がると、身体には何が起こる?
温熱機器メーカーの資料を見ていて、興味深い数字がありました。
その資料では、
体温が1℃低下すると、基礎代謝が12%低下する
また、
免疫機能が30%低下する
という説明がされています。




この数字を見て、「もし体温と身体の状態にこうした関係があるのだとしたら、実際に来院する人の体温を測ってみたらどうなるんだろう?」
仮説は健常者と比べて、おそらく低いのだろうと思い、実際に測ってみたら、やはりという結果になったというわけです。
ラジオ波ではなく、ENJUDOが選んだのは「超短波」
ここは少し面白いところです。
メーカー資料で紹介されていたのはラジオ波についての内容でした。
ENJUDOでは発売されたばかりのラジオスティムを導入していました。
でも、自分が実際のテストに使ったのはラジオ波ではありません。
超短波です。
なぜ超短波を選んだのか。
理由の一つは、服を着たまま行えること。
そしてもう一つが、
比較的短時間で行えること。
患者さんにわざわざ着替えてもらい、長時間の施術をして……という方法では、普段の施術の流れの中で繰り返し観察するのが難しくなります。
そこで、できるだけシンプルにしました。
施術前に体温を測る。
↓
超短波を10分間行う。
↓
もう一度、体温を測る。
これなら、通常の施術の流れの中でも確認できます。
すると、かなり興味深い結果になった
私が数か月にわたって観察していた範囲では、新しく来院された方は36℃を下回っているケースがかなり多くありました。
そこで超短波を10分間行い、再び体温を測ってみる。
すると、
37℃台になっている方が多かった。
もちろん、すべての人が同じようになったわけではありません。
中には、施術後に体温が下がった方もいました。
なぜそうなったのかについては、当時のデータだけでは分かりません。
また、過去に記録していた測定データは現在すべて手元に残っているわけではありません。
ですから、これは医学的な研究結果として発表しているものではありません。
あくまで、
「延寿堂で実際に体温を測ってみたら、こういう傾向が見えてきた」という観察です。
でも、更に面白いと思ったのは、その先でした。
もっと温めたら、38℃、39℃になるのか?
ここで普通に考えれば、
「10分で37℃台になったのなら、もっと長く温めたら、38℃、39℃と上がっていくんじゃないか?」と思いますよね。
ところが、自分が観察していた範囲では、そういう感じではありませんでした。
時間を長くしても、体温がどんどん上がり続けるわけではない。
むしろ、37℃前後で頭打ちになるように見える。
これは、かなり興味深い現象でした。
もし、身体を温める方法が、熱源から身体へ熱を伝える「伝導熱」が中心であれば、表面に熱が集中することで、低温やけどなどのリスクにも注意が必要になります。
一方、自分がテストに使った超短波は、外から熱を当てるというより、高周波の電磁エネルギーによって身体の組織に熱を発生させるという、異なる仕組みの温熱機器です。
そのため、一般的な湯たんぽやカイロなどとは、身体への熱の入り方が違います。
もちろん、超短波だから絶対にやけどをしないという意味ではありません。出力や施術時間、身体の状態(体内金属の有無)などを適切に管理する必要があります。
それでも、こうした「熱の伝わり方の違い」は、他の温熱方法と比較するときの大きなポイントになります。
そして、ここでもう一つ疑問を持ちました。
「なぜ、これ以上温度は上がっていかないのだろう?」
10分程度の温熱で37℃台になる人がいる。
ところが、さらに温めたからといって、38℃、39℃と際限なく上がっていくわけではない。
身体は、単純に「外から熱を入れれば入れるほど温度が上がる」というものではないようです。
では、身体の中では何が起きているのでしょうか?
ここから、また新しい疑問が生まれます。
身体は、ただ温められているだけではない?
ここから先は、あくまで自身の推測です。
人間には、体温を一定の範囲に保とうとする体温調節の仕組みがあります。
その中枢の一つとして知られているのが、【脳の視床下部】です。
外から温熱刺激を加えて身体の温度が上がったとしても、身体は単純に「熱を入れた分だけ上がる」という仕組みではありません。
発汗したり、皮膚の血流を変化させたりするなど、熱を逃がす方向の調節も行います。
もしかすると、自分が見ていた「37℃前後でそれ以上上がりにくくなる」という現象にも、こうした体温調節の仕組みが関係しているのではないか。
そんなふうに考えています。
体温を測ってみると、見えてくるものがある
治療院に来る人は、基本的に「何か気になること」がある人です。
痛い。
重い。
疲れる。
冷える。
動きにくい。
本人は、その症状を感じていても、「自分の体温が低いかもしれない」とは考えていないことが多い。
だからこそ、測ってみる。
すると、「思っていたより低いですね」ということがある。
最初に健常者の体温の説明をして、1℃変わると色々と身体に変化が起こるという説明をしたあとに、たった10分の施術でも、検査では体温が低かったのが施術後に1℃上がった、となれば確実にビフォーアフターでの結果につながったと言えます。
で、ほとんどの人が「温まった」「心地よかった」「眠くなった」「楽になった」という感想を述べていました。
「不調」と「体温」の間に何があるのか?
今回の話は、「体温が低いから病気になる」という単純な話ではありません。
また、「超短波をやれば体温が上がる」という宣伝だけをしたいわけでもありません。
不調を感じて治療院を探している人を実際に測ってみたら、体温が低い人が多かった。
そして、
短時間の温熱刺激を行うと、測定した体温が37℃前後になる人が多かった。
さらに、
そこから先は、温めれば温めるほど上がり続けるわけではなかった。
という、一連の観察です。
「なぜだろう?」
長く人の身体を見ていると、こういう疑問が次々に出てきます。
そして自分は、こういう「なぜ?」を実際の現場で確かめていくことが、うわべだけのテクニックよりも大切なんじゃないかと思っています。
体温なんて、体温計があれば測れます。
だからこそ、一度くらい、「自分の普段の体温って、何℃なんだろう?」と測ってみてもいいのかもしれません。
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この記事を書いた人|菊地延寿
柔道整復師・健康管理士・パーソナルトレーナー。
延寿堂整体院、延寿堂カアツ・ラボ、延寿堂カッピング・ラボを運営。
カッピング(吸い玉療法)をはじめ、整体・トレーニング・セルフケアなど、身体を「引いて、めぐらせて、動かす」ための方法を研究・発信しています。
元・日本吸い玉協会代表。現在は「きくち式カッピング × ENJUDOメソッド」として、カッピングをもっと身近なセルフケア・ペアケアとして伝えています。
